Hojoki

方丈記

 



ゆく河の流れは絶えずして、 しかももとの水にあらず。

よどみに浮ぶうたかたは、 かつ消え、 かつ結びて、 久しくとどまりたる

ためしなし。世の中にある人の栖と、 またかくのごとし。

たましきの都のうちに棟を並べ、 甍を争へる高き賤しき人の住ひは、

世々を経て尽きせぬものなれど、 これをまことかと尋ぬれば、

昔ありし家は稀なり。 或は去年焼けて、 今年作れり。

或は大家ほろびて小家となる。


: かは 浮ぶ:うかぶ 栖:すみか 棟:むね 甍:いらか

賤しき: いやしき 経て:へて 稀:まれ 或:あるい

去年:こぞ 今年:ことし 大家:おほいへ 子家:こいへ


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